マリのビーズ、アクセサリーであり、お守りであり, 世界のお守り
アフリカの各地では、
カラフルなビーズのアクセサリーを身につけている女性が多い。
それらのビーズは単なるアクセサリーではなく、
魔除けのお守りとしての意味を持っています。
昔、ヨーロッパ人がアフリカ大陸を初めて訪れて間もない時代、ヨーロッパ人は、
イタリアやオランダやチェコで作られたビーズ玉を
アフリカ民族との貿易の通貨の代わりに使用していました。
ビーズ玉と引き換えに、
農作物や、食肉、食物油、象牙、奴隷などを受け取っていました。
アフリカにはビーズ玉のようなカラフルな品物が無かったため、
地元民はその美しさに興奮し、手に入れたビーズ玉で自らの頭や首や手首を飾ったと云われています。
ビーズ玉の美しさは、悪魔を寄せつけないと信じられ、ビーズ玉の装飾物は魔除けの意味もあると云われています。
マリ共和国の市場には、ビーズのみを売るビーズ屋があり、
骨、木の実などの古くから使われている素材のビーズや、
ヴェネチアンビーズの技術で作られたヨーロッパ産のガラスビーズや、
天然石を使ったビーズなど、いろいろな素材のビーズが売られています。
ビーズは複数の種類を組み合わせて、ネックレスやブレスレットなどの
アクセサリーとして売られています。
ビーズ玉にはそれぞれ意味があって、
例えば、琥珀色(アンバー)は、精神の安定、旅先の安全などを叶えるもの、
青色(トパーズ)は、仕事や恋愛などのよりよい縁を叶えるもの、などの意味があります。
アフリカの人々は自分や家族の思いでビーズを選び、アクセサリーとしてだけでなく、
お守りとしてそれを身につけているんです。
マリ共和国で女性達が身につけているアクセサリーの大半は、
彼女達の結婚式や、親戚の葬式時に受け継いだものだそうです。
ネックレスやブレスレットなどのアクセサリーは、
時代とともに形を変えながら、親から子供へ、代々と受け継がれていくのです。
日本では、流行り廃りに流されて、身に付けるアクセサリーを消費物として
どんどん新しいものを買い揃える傾向が強いですが、
祖先の想いを込もったアクセサリーを身に付け続けるマリの風習は、
日本の物を大切にする思いに通ずるものがあると思います。
ビーズの他にも、マリには男女問わず、
シルバーのシンプルなブレスレットをしている人が多くいます。
シルバーのブレスレットは、親が子供の無事な成長を願ってつけるもので、
赤ん坊の頃から付けられ、成長してサイズが合わなくなると、
その都度、より大きなサイズに付け替えて行きます。
一生、肌身離さず身に付け、亡くなった際は、
遺体とともにブレスレットは葬られます。
マリを含むアフリカの人々にとって
ビーズのように、アクセサリーはファッションのアイテムという意味だけでなく、
呪術的な意味も持っていました。
人々の健康の悩みを診る呪術師は、薬草の他にネックレスなどのアクセサリーを作っています。
アクセサリーは薬草と同様に、健康の悩みや病気の症状に合わせて作られており、
発熱した子供に付けるためのものや、
妊婦が流産しないためのものや、
ろくでもない男に捕まらないためのものなど、
様々な用途に合わせてアクセサリーが用意されています。
ビーズは特に魔術的な力を持っていると信じられており、
仮面や、彫像などの超自然的な儀式に使用される道具に付けれらることも多いです。