ボリビア、ペルーの呪術師クランデーロ, 世界のお守り
南米のボリビアやペルーには、
クランデーロと呼ばれる呪術師がいます。
ボリビアやペルーなどは、地方都市にも公立病院などの医療機関があり、
現代医学のもとづく治療を受けることが出来ます。
それでも、未だ、
ちょっとした病気や、体の悩みについては、
クランデーロと呼ばれる呪術師に相談するという風習が残っています。
ペルーには、クランデーロの拠点ともいうべきチクラヨという街があります。
チクラヨはペルー北部の海外線に位置する街で、交易の中心地として利用されています。
チクラヨには、クランデーロのお店がたくさんあり、
不気味な人形や、得体の知れない液体や、見るからに怪しいおまじないの道具や、
アルパカの胎児のミイラまで、売られています。
他地方のクランデーロたちがそれらのアイテムを求めて、チクラヨに集まってくるんです。
このようなお店はいつも盛況で、客足は途絶えない状況です。
このことからも、ペルーの人々の生活にクランデーロは密接に関わっていて、
ひとつの正式な職業として成り立っていることがわかります。
クランデーロは、見るだけで相手の体の不調箇所を当てることが出来ます。
相手を見て、ひと握りのコカの葉を地面にばら撒き、コカの葉の散らばり方を見て、
相手の体の状態を判断します。
コカの葉は、麻薬であるコカインの原料となる葉です。この葉を使うあたりが少し怖いです。
クランデーロは相手の不調を発見するだけでなく、不調箇所の処置も出来ます。
処置は、一連の儀式として行われます。
クランデーロはコカの葉を噛みながら儀式の前準備をします。
コカの葉は、儀式の出席者にもすすめられますが、噛まない方が賢明だと思います。
お椀に盛ったトウモロコシのお酒であるチチャをクランデーロを含む出席者全員で回し飲むことから、
儀式がスタートします。
次に、部屋の一角で火をおこし、インセンシオと呼ばれるお香を焚きます。
お香が立ち込めると、クランデーロは石を持って、カチッカチッと鳴らした後、
石を口元に持っていき、息を吹きかけて、その後、
耳元に持っていき、何か聞き取るような仕草をします。
この一連の動作を、儀式の対象者の名前をつぶやきながら数回繰り返します。
それから、また、チチャのお酒を飲んだ後、
現地の言葉で、クランデーロと出席者による言葉の掛け合いが始まります。
その掛け合いの中で、クランデーロの声色が変わりだし、
対象者の不調の原因となっている呪いについて語られます。
儀式としては以上でいったん終了です。
クランデーロは儀式の後日、判明した呪いを鎮めるための祈祷を対象者に行ない、
呪いを鎮めるための、動物の毛を織り込んだ首飾りや、現地の花と鉱物を調合した薬を渡します。
これで、儀式は全て終了です。
相談に来た人の体の不調も改善されるということになります。
クランデーロのような呪術師は、
親から子へ代々受け継がれていくもの、というわけでもありません。
呪術師になるには、特殊な資質が問われます。
事故、災難、病気、などの人生の危機を契機として、
自身の資質に開眼した人が呪術師になります。
例えば、雷に打たれた場合、多くの人は死んでしまうのですが、
中には何らかの要因で死なずに生き延びる人がいます、
そのように生き延びた人には、呪術師なる資質があると見なされるのです。